リーマンショック再来はあるのか

金融
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中国発の新型コロナウイルス感染症は、あっという間に世界中に蔓延し、パンデミック手前の規模にまで拡大しつつあります。

日本も例外ではなく、2月25日にようやく政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表。各種イベントの中止・延期・自粛モードとなっています。27日には全国の学校を休校にする要請をするなど、混乱も見られてます。

今後、経済への影響が心配です。株式市場では世界的に大幅下落が続いています。このままリーマンショック級の混乱・不況が発生する可能性はあるのでしょうか。

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リーマンショックの原因

リーマンショックは、米国のサブプライムローンの不良債権化が発端でした。当時、米国では不動産バブルが発生し、リスクの高い住宅ローン債権を証券化し、利回りの良い証券化商品として、運用先を探していた欧州の金融機関がたくさん購入していました。購入というより、「投資」ですね。

その後、フタを開けてみると、不動産価格が下がり、住宅ローン利用者ももともとリスクの高い属性(つまり所得が低い等)でしたから、ローン債権が不良債権化しました。その債権を裏付けとしていた証券化商品の価値が紙くずとなり、欧州の金融機関は大打撃を受けたわけです。

打撃の規模が大きかっただけに、欧州の金融機関の通常の投融資活動にも影響し、ひいては経営危機に陥る事態ともなりました。リストラ、資産処分などが相次いで行われ、生き残る手をなんでもよいからやる、というムードになりつつありました。

サブプライムローン以外には資源バブルの崩壊もリーマンショックにつながったといえるかもしれません。当時資源価格は高騰し、世界的にインフレの状態でした。中国ではインフレ率8%以上、新興国では10%以上の気にもありました。インフレは行き過ぎると消費が抑制方向に向かいます。つまり、モノの値段が上がりすぎると、その水準なら買うのを止めよう、となるわけです。これが一気に起きて、需要が激減し、世界中に連鎖。モノを作っている製造業に波及し、需要が無いのでモノを作れない、という状況になりました。

金融危機とインフレ崩壊がリーマンショックを引き起こしたわけです。

リーマンショックからの立ち直りまでは半年程度

リーマンショックが起きたのは2008年後半。不況の底は2009年第1四半期だったといわれています。その後、経済活動は回復し、各種指標も通常水準に戻りました。事態的にはショック機関は半年程度だったと思われます。

リーマンショック再来はあるのか

結論からすると、再来は無いと思っています。

今回の新型肺炎における状況と、リーマンショックのときと共通しているのは「製造業」です。中国は世界の工場としてこの数十年躍進し、世界のモノの供給者として不可欠な存在です。中国の製造業がストップ、あるいは製品供給がストップすると、世界の経済活動もストップしてしまいます。これはリーマンショック時と共通している部分です。

一方で、異なっている部分は「金利水準」です。現在、日本も含めて金利の水準は抑えられています。米国などこの数年間で徐々に金利を挙げてきましたが、世界的に見てリーマンショック前のインフレ状態の金利と比較しても低い水準にあるといえます。さらに、一定程度の下げ幅は確保できているので、金融緩和のための金利引き下げ措置も柔軟に対応できる状態にあるといえます。

共通している製造業の部分はやや心配ですが、中国から他国へのシフトも進んでいるし、サプライチェーンも現在は世界的に柔軟にコントロール可能なはずです。ですので、リーマンショック時のような市場混乱は起きないのではと考えます。

頼ったニュースやデマに惑わされない

一部のスーパーでは、マスクだけではなく、トイレットペーパーやティッシュが品薄となっているようです。どうも中国から輸入されなくなって、国内の在庫が尽きる、という心配で買い占めをする人が増えているようです。はっきりいって、デマですね。

こうした消費者の行動が、全国的な混乱を生じさせるので、変なニュースやデマに惑わされない冷静な行動を心がけたいと思います。

リーマンショックは半年。新型肺炎は3か月で収束してもらいたい!(個人的な希望)

では。

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この記事を書いた人
Terry

新規事業企画担当として日々奮闘。日本の金融業界の動きや世界の金融の潮流、銀行員お役立ち情報などを発信しています。

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