銀行業界を変えるネオバンクとチャレンジャーバンク

金融
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最近、ネオバンクとかチャレンジャーバンクといった言葉を耳にすることが増えてきました。海外ではすでに一つの業態ジャンルとして確立し、既存の銀行を脅かす存在にまで成長しつつある業態です。

まず、そもそもネオバンク、チャレンジャーバンクとは何なのかを整理し、日本ではこうしたジャンルが台頭する余地があるのか、台頭してきた場合は既存の日本の金融機関は太刀打ちできるのか、など考えてみたいと思います。

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ネオバンクとは

銀行ライセンスは取得しない

ネオバンク自体の明確な決まった定義はないものの、一般的には、銀行ライセンスを取得せず、既存の金融機関と連携しながらネット上で金融サービスを提供する企業を指します。

サービスを利用顧客からすると、利用するサービスはネオバンクが提供するように見え(実際そうなんですけど)、新しい金融サービスを使っている感じを得ることができます。

実際のところは、既存の銀行などの業務プラットフォームが裏側に入っていることが多いです。したがって、ライセンスの観点では、あくまでも既存の銀行のサービスとしての業務として位置付けれているイメージです。

米国のSimple、Movenなどが代表的なネオバンクとして挙げられることが多いです。

ネオバンクの提供サービス

提供サービスは主に預金、決済、運用サービスが中心となります。

ネオバンク企業としては、新たにライセンスを取ることなく、金融サービスを提供することができます。サービス利用顧客としては、ネット上で気軽にかつ(一般的には)低コストで金融サービスを利用することができることから、欧米を中心にネオバンク市場が拡大している模様です。

Simpleの創業者は、既存の銀行のサービスがとても不便であったことから、自分で利便性の高いサービスを世の中に出そう、というのが創業の動機となったようです。

チャレンジャーバンクとは

銀行ライセンスを取得

ネオバンクが銀行ライセンス取得しないことに対して、チャレンジャーバンクは銀行ライセンスを取得します。

つまり、新しく銀行業を営むことになるわけです。ネオバンクと同様に、顧客に対して利便性の高い新しいサービスを展開することになります。ライセンス取得により、ネオバンクと比べても、より多くの金融サービスを独自に手掛けることが可能となります。

銀行ライセンスに対する考え方の変化

銀行ライセンスは世界各国において、それなりに厳し基準で運用されているのですが、昨今のフィンテックを用いた金融サービスの質の向上、業界の発展を目的に、銀行ライセンスに対する考え方に変化がみられてきました。つまり、新しい業種・業態にも銀行免許を与えてしまおう、という国が増えてきています。

例えば、シンガポールでは2019年、「デジタル銀行」という新しい銀行免許を作り、GRAB等の従来の金融ではなく、新しいフィンテック関連企業が取得に向けて手を挙げている状態です。

英国のMonzo、Revolut、ドイツのN26が有名なチャレンジャーバンクです。なお、自国では銀行ライセンスを取得しているチャレンジャーバンクだけれど、他国ではライセンス取得せずに、その国の金融機関と提携してネオバンクとして展開している企業もあります。

日本におけるネオバンクとチャレンジャーバンク

創成期といえる状況

日本においては、ネオバンクあるいはチャレンジャーバンクを志向するスタートアップ企業がいくつか登場しつつある状況です。まさに創成期といえる状況でしょう。

ネオバンクは免許を取得しないので、広い意味では多くのフィンテック企業がこれに当てはまると思いますが、チャレンジャーバンクは免許を取得することになるため、参入ハードルは高いといえます。

日本の銀行代理業の免許制度を活用した異業種参入は増えています。不動産会社が住宅ローンを販売する、結婚相談所が住宅ローンを販売する、といった事例がみられていますが、本格的なチャレンジャーバンクのような形態ではありません

許認可のハードルは高い

日本の現行の許認可制度においては、欧米でみられるようなネオバンク・チャレンジャーバンクが育つのはなかなかハードルが高いように思えます。

金融サービスを展開するにも、銀行業をとらないとなると、銀行代理業、電子決済等代行業、資金移動業、金融商品取引業・・・等、展開するサービスに応じて様々な許認可を取得する必要があります。一部は既存の法律が現在のデジタルサービスを想定していないことから、いちいち金融当局に問い合わせ・相談が必要となっており、ビジネス構想段階からサービスリリースまで多くの労力を要することなります。

このままでは、本当のネオバンクやチャレンジャーバンクが日本で育つのは難しのかもしれません。

金融サービス仲介業で変わるか

2021年度を目途に、新しく「金融サービス仲介業」が創設されることが検討されています。フィンテック企業がワンストップで金融サービスを展開できるようになるかもしれない、というものです。

こちらでも解説しています→金融サービス仲介業の誕生

金融サービス仲介業が実現すると、ネオバンク・チャレンジャーバンクが日本でも急速に育ってくる可能性はあります

今後の法制度の動き、業界プレイヤーの動きに注目です。

まとめ

スマホのインフラ、5Gサービスの開始、キャッシュレス社会の拡大、など社会的なインフラは日本でも育ってきています。金融行政・法制度の整備が業界の足かせにならないよう、頑張ってもらいたいですね。

さらに最近の新型コロナウイルスの影響による外出自粛、在宅勤務などは、ネットを通じたビジネス、スマホを通じたサービスが拡大することになると思います。当然金融サービスも例外ではないでしょう。

数年後、日本でもネオバンクやチャレンジャーバンクが当たり前のように乱立し、欧米と張り合える金融業界になっているでしょうか。ポテンシャルは十分にあると思っています。

お付き合いありがとうございました。

では。

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プロフィール

この記事を書いた人
Terry

新規事業企画担当として日々奮闘。日本の金融業界の動きや世界の金融の潮流、銀行員お役立ち情報などを発信しています。

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