銀行員必読の金融庁の金融行政方針を要約する

金融
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銀行の監督官庁である金融庁は、毎年、「金融行政方針」という方針書を公表しているのはご存知でしょうか?

銀行員でも読んでいない人も多いのでは?

実は結構大事なことが書かれてますよ!

今年度の金融行政方針をまとめてみました。

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金融行政方針の位置づけ

事務年度とは

2020年8月31日に公表された金融行政方針のタイトルは以下の通りです。

「令和2事務年度金融行政方針~コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」

コロナ社会を念頭においた内容であることが想像できますね。

ところで、「令和2事務年度」の「事務年度」とは何ででしょうか。

金融庁の「事務年度」は「7月~翌年6月」

今回の令和2事務年度は、今年の7月から来年の6月までをさすことになります。

金融庁の大型人事異動は7月1日付けが多いです。新体制で新事務年度が始まるということなのでしょう。

「金融行政方針」が復活

復活とは言葉の話です。実は「金融行政方針」という言葉は、前年度と前々年度には無くなっていました。

今年度になって、「金融行政方針」という言葉が復活したのです。

詳しい背景はわかりませんが、7月に就任した永見長官の方針でしょうか。

金融行政方針の位置づけ

金融行政方針に基づいて、金融庁は、各種金融施策の実施、銀行を含む金融機関の検査やモニタリングを行います。

かんたんにいうと、金融庁はこういう風に思っているから、金融機関の皆さん、これらを念頭に経営するように!というような内容となります。

金融行政方針の構成

金融行政方針は毎年度以下のような構成で公表されています。

  • 概要(または主なポイント)
  • 本文
  • 英語版

令和2事務年度は以下の構成です。

  • 概要(1ページ)
  • 本文(33ページ)
  • 補足資料(64ページ)
  • 英語版(概要1ページの英訳

全体を捉えるのに、概要に目を通すことからはじめることをおすすめします。1ページだけですので。。。

本文に入っていくと、今年はページ数が少なくて読みやすい!と思います。

ところが、補足資料に目を通すと、がっつり書いてありました。年度によってはこれらが本文に入っていた内容ですね。

銀行員のみなさんはすべて目を通しましょう!

令和2事務年度・金融行政方針のポイント

ポイント要約

金融庁が重点課題として掲げていることは以下の3つです。

コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く

高い機能を有し魅力ある金融資本市場を築く

金融庁の改革を進める

以下、もう少し中身を見てみましょう。

重点課題①コロナ対策

概要

新型コロナウイルス感染症への対応に取り組むことをまず掲げています。その中で、簡単にまとめると以下のような内容です。

金融機関は、取引先の資金繰り状況をしっかり把握しましょう。

資金繰りだけではなく、経営改善や再生支援などのサポートもしましょう。

書類・ハンコ・対面を見直しましょう。

デジタル技術で、お客様の課題を解決しましょう。

コロナ社会を念頭に、金融機関としての役割を発揮して社会貢献してください、ということです。

注目ポイント:コロナ後の社会

金融行政方針の本文に「コロナ後の顧客ニーズに応えるサービスづくり」という項目があります。今後の金融分野のあるべき姿を金融庁がどのように考えているのか参考になる部分です。いくつか項目がありすが、メインは「金融デジタライゼーション」です。

単に従来のやり方をデジタルにするだけではダメ

これからの金融機関は付加価値を創出する発想が必要

金融サービス仲介業の創設を含めて制度面でも推進

行政側もしっかり支援するから、よろしく頼むよ、という感じですかね。

重点課題②魅力ある金融資本市場

国際競争力を高めること

日本の金融市場の機能を強化して、アジアや世界に貢献できる市場にするという内容です。

興味深いのが、「英語による金融行政」でした。許認可や検査・監督プロセスの英語化を進めるとのことですが、具体的にどのような対応をするのか興味深いところです。

資本市場の改革

間接金融中心の金融仲介から直接金融へとの資本市場の見直しを進めてきたが、実際の資金の流れには大きな変化がみられていないとコメント。

取引所外の資金の流れにも触れています。クラウドファンディング制度や非上場有価証券の取引等の改善についても検討を行うとのことです。このあたりは、金融サービス仲介業とも合わせて、新たな規制の動きなどがこれから見られるのかもしません。

マネロン・テロ資金供与対策

銀行員なら最近毎日のように口を酸っぱく言われているマネロン対策です。

2019年10月に入ったFATF第4次対日相互審査の結果を受けて、今後ますます重視されるテーマですね。

暗号資産、ステーブルコインについても触れられています。資金移動業者や新しいサービス事業者に対しても同水準の対策・対応を求められることになると思いますので、マネロン分野は今年から来年にかけて金融業界内では大きなテーマになることは間違いなし

以上、すべて記載はしておりませんが、気になったテーマをまとめてみました。

重点課題③金融庁の改革

民間企業では当然取り組んでいることを並べています。

金融機関職員は流し読みでOKでしょう。

銀行に求められるもの

世の中の流れ、日本の金融業界・金融機関に足りないことを上手にまとめていただいた内容とも言えますね。

銀行経営者でない限り、一字一句を暗記する必要なないですが(笑)、大きな方向性は理解しておく必要があります。

新規事業を行う担当者は金融庁へ確認をとることも多いでしょうから、自分が企画していることが、この金融行政のどの部分に合致しているのかを確認しながら進めれば、理解も得られやすいはずです。

融資担当者であれば、自分の取引先にもっとサポートできることがないか、考えてみてはいかがでしょうか。金融行政方針に書いてあるような理想像を念頭に置きながら、現場で泥臭い営業をするわけですが(笑)、ゴールを描いている活動は必ず評価されると思います。

金融行政方針は一度は目を通しておくべし

意識しておくべきことは、デジタライゼーションですね。

伝統的な銀行マンはここが弱い(笑)

世の中のフィンテック事業者の動きはとても速いです。彼らは、ワーキンググループを自ら立ち上げて、ロビー活動もやって、自分たちの市場を作りに行っています。本当は銀行も自ら率先してもっとやるべきなのですが。まだまだ足りないですね。。。きっと。

キーワードはデジタライゼーション

まとめ

すべては書ききれないので、詳細は自分の目で確認してみてください。

「金融行政方針」と検索すればすぐに出てきます。

金融機関職員としてやるべきことのヒントが見つかるかもしれません。

最後までお付き合いありがとうございました。

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プロフィール

この記事を書いた人
Terry

新規事業企画担当として日々奮闘。日本の金融業界の動きや世界の金融の潮流、銀行員お役立ち情報などを発信しています。

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