キャッシュレスで自己破産

金融
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先日のNHKの報道によると、借金が返済できなくなった人が自己破産した件数は、2019年の1年間でおよそ7万3000件と、2年連続で7万件を超え、増加傾向にあるそうです。

なぜこのような傾向が続くのか、何が要因なのか、見てみたいと思います。

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自己破産とは

自己破産とは、借金が返せなくなり、もう支払いが不能になってしまった場合、裁判所を通じて支払いを免除してもらう手続きのことをいいます。

自己破産は法的な手続きです。破産の申し立てと借金をチャラにする免責許可の申し立てが必要な手続きとなります。なお、免責許可は100%出るわけではないので、すべての人が借金ゼロとなるわけではありません。

自己破産の申し立てを行い、免責許可がなされれば、借金がゼロとなり、これまでの支払い義務が免除となります。また、債権者による財産の差し押さえといった強制執行もされなくなります。債権者は強制執行ではなく、破産手続きを通じた債権回収となります。

自己破産してもすべての財産を失うわけでもなく、生活に必要な最低限の財産は残しておくことができます。自己破産=路頭に迷う、というわけではないんですね。

一方で自己破産すると、官報への記載、ネットでも閲覧できる裁判記録への掲載、個人信用情報機関への記録(いわゆるブラックリスト)、職業や資格の制限(自己破産手続き開始から免責許可決定の期間)、といった自己破産なりのデメリットもあります。

自己破産後の生活はどうなるの?といった情報は今回は記事にはしませんので、ぜひググってください(笑)

借金が膨らむ原因

大きな要因は銀行のカードローンと言われて久しいです。借金は年収の3分の1という総量規制は実は銀行のカードローンにはカウントされません。したがって、銀行は総量規制に関係なく、ローンを提供することができちゃうんです。

ただ、最近は当局の指導もあり、ローン利用者の収入や返済能力を丁寧に審査し、その後も状況を把握するように努めていることになっています。総量規制対象外でも総量規制に準じてローン金額を決めている金融機関も少なくありません。

それでも銀行は営業・収益の観点でカードローンを積極的に勧誘しているのが実態でしょう。カードローン収益は銀行にとって非常に捨てがたい収益の柱となっているからです。貸し倒れが発生しても、十分な金利をとっているので、ビジネスとして成り立つ構図ですね。

借金が膨らむ要因 その2

銀行からの積極アプローチのみならず、利用者側においても気軽に借金ができる環境が整ったことも借金が膨らむ要因でしょう。スマホやパソコンで24時間いつでもローンの申し込みができ、しかもネット完結のため、本当に気軽にお金を借りることができてしまう時代となりました。オンラインサービスは利用者の利便性を劇的に引き上げたわけですが、ローン分野については、借金が膨れ上がる多重債務者を生む副作用が出たことになったわけです。

借金が膨らむ要因 その3

上記までは今日まで言われ続けてきた背景ですが、ここ1-2年で借金が加速する要因となっているのはキャッシュレス化の流れだと思います。

キャッシュレスにより、お金を使う、お金を借りる、といった感覚が薄れていないでしょうか?〇〇ポイント、〇〇ペイ、から延長でスマホで借入が簡単にできるようになり、さらにお金に対する「重さ」がキャッシュレスを通じて軽くなっていることが、借金膨大、冒頭の自己破産件数の増加につながっているのではと推測することができると思います。

自己破産を増やさない社会

金融機関、利用者の双方が意識または努力する必要があると思います。

銀行としては、収益至上主義ではなく、公共性、社会性といった根本的な役割に立ち返り、健全な融資商品の提供に努めるべきです。無理に借金を背負わすことはやめ、むしろお金の使い方・借り方をアドバイスするような仕組みを社会に根付かせるような活動も必要かもしれません。

例えば子供のうちから金融教育を行い、大人になってから困ることのないような社会になるよう、金融機関にはそれなりの責務があると思います。

利用者側は、キャッシュレス時代への移行期において、お金の感覚についても見直しをすることが必要で、自分の収入に見合った消費を行う。そして、借金するためのスマホではなく、自分のお金の利用状況を常に把握できるような家計簿アプリのようなものも同時にスマホ入れておくような行動も必要かもしれません。

利用者側もたとえば子供のうちから金融の仕組みやお金の使い方などを学べるような機会をもっと持つべきですね。それは学校や金融機関が協力して行うことが必要なのかもしれません。

少し固いお話でしたが、ご利用は計画的に。金融教育も計画的に。となると良いですね。

最後までお付き合いありがとうございました。

では。

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この記事を書いた人
Terry

新規事業企画担当として日々奮闘。日本の金融業界の動きや世界の金融の潮流、銀行員お役立ち情報などを発信しています。

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