銀行は全国津々浦々に支店、つまり店舗を出店しています。
最近は経営効率化、リストラ、事務自動化などで支店数カットを発表するメガバンクもありました。
こうした「店舗削減」のようなリストラのイメージがあるので、感覚的に店舗数は減っていると思われている方も少なくないかと思います。
実はこの店舗数は増えているんです。
以下、数字とともにその背景について解説していきます。
全国にある銀行の店舗数について
結論からボリューム感をお伝えすると、
全国には銀行の店舗は1万3千以上あります。
このボリューム感は皆さんどう感じられますか?
参考前にコンビニの店舗数と比較してみましょう。
2020年7月時点:
セブンイレブン 20,884店
ファミリーマート 16,626店
ローソン 14,491店
上記の通り、コンビニ大手の店舗数には届きませんが、街を歩けばそれなりにあるといった感覚でしょうか。
銀行の店舗数の推移
全国店舗数:
平成22年 13,460
平成30年 13,673
213店舗増えています。
都市銀行店舗数:
平成22年 2,489
平成30年 2,780
都市銀行では291店舗増えています。
地方銀行(第二地銀除く):
平成22年 7,493
平成30年 7,606
113店舗増えています。なお、第2地銀が若干減少しているので、全国全体の数値に収まります。
店舗が増えている背景
機能特化型店舗
銀行の店舗戦略はそれぞれ異なるので、店舗数増加背景を一言でいうのは難しいですね。
例えば資産運用商品を重視する場合、資産運用相談に特化した店舗を新規出店している都市銀行・信託銀行はあります。従来型のフルサービス店舗ではなく、機能特化型ですね。
機能特化型店舗:資産運用相談型、住宅ローン特化型、相続相談型など
フルサービス型
地方銀行の場合は「越境出店」が増えているようです。通常は地方銀行は地元の各都道府県で営業展開していますが、近隣他県に出店して、他の地方銀行のお客を取りに行くという状況がみられるようになりました。まるで戦国時代のようですが。店舗は前述の機能特化というより、預金・為替・貸出を扱うフルサービス型の場合が多いようです。
フルサービス型店舗:預金・為替・貸出(融資)といった銀行業務全般の取り扱い
店舗拡大の理由
ゼロ金利時代、各銀行の収益が細っており、資産の拡大が必要です。
住宅ローンやアパートローンは資産拡大に貢献してくれます。ただ、地元の地域だけでは限界があり、新規地域へ展開、新規のローンや借り換えローンの攻勢を強めているようです。そのためにも新しい店舗が必要だ、となります。
店舗を増やしてお客様との接点を増やすチャネルを拡大。面積を広げるイメージですね。
各銀行での状況は様々ながら、店舗が増えている背景が少し見えてきました。
店舗数は今後も増加するのか
店舗数が増えていることについて、皆さんはどう感じられたでしょうか。
私は店舗数は減っていると思ったので、この数字を見たときは少し驚きでした。
銀行の営業展開は昔から何にも変わっていないのでは?と銀行業界全体の風潮に疑問を感じてしまいました。
単なる予想屋みたいな発言は避けるべきとは思いますが、ただ、今後確実に店舗数は減っていくと思います。いや、業界全体の健全性のためにもぜひ減らしていただきたい!
銀行のお店って、そんなに必要なのでしょうか。。。と考えてしまいますね。
最近ではインターネットバンキングで大抵の取引はできるし、現金が必要な際もコンビニATMでお金を引き出すこともできるし。
そもそも世の中キャッシュレス社会なので、現金はあまり要らないし。と考えると少なくとも従来型の店舗は不要になってくるのではないでしょうか。
銀行としても、賃料・人件費・その他経費を入れると一つの店舗運営費は数億円規模になるはず。黒字化するには相当な収益を上げないといけないはず。この状況下ではなかなか簡単にはいくことはないと思います。収益力強化、収益体質改善のために、店舗コストの扱いは避けて通れないことだと思います。
銀行も新しいチャネル対応が必要
銀行の店舗運営の方向性について
インターネット専業銀行は基本的に店舗は持っていません。お客さんを振り分ける「支店」はたくさんありますが、これは、実際に店を構えている支店ではありません。これだけで賃料は発生しません。ネット銀行での運営は今後の店舗運営のヒントにつながるのではないでしょうか。
うまり、リアルの店舗が無い前提で顧客をどのようにとっていくか、商品を売っていくか、ビジネスを展開していくか、という発想が必要だと思います。
そもそも金融取引・金融商品は、(法律規制によることを除けば)世界中で取引ができる・購入ができる・利用できるものです。したがって、日本の中で同じ金融規制を遵守している前提で、銀行側はリアル店舗を通じなくても、営業はできるはずです。
忙しい個人、会社の社長など、銀行との取引は大事だけれど、いちいち訪問されても困ると感じている人は多くなってきていると思います。
銀行の営業スタイルの変化
支店の営業マンが足しげく通う時代は終わっているのではないでしょうか。対面で得られる大事なこともありますが、もっと大事なことは時代に合った営業方法、販売方法、取引方法を作っていくことだと思います。
中国では病院にいかなくてもネットで診察ができるようです。インターネットが当たり前の時代、銀行もネットを駆使したチャネル推進を拡大することが必要なのではないでしょうか。
そのうえで、必要な店舗は残す、不要な店舗はなくす、といったメリハリが発揮され、結果的に収益体質の改善となるのだと思います。
支店営業が不要となる時代到来
このように考えていくと、将来は支店が無くなる、あるいは支店が残ったとしても、従来型の銀行の営業マンは不要になるのが自然の流れでしょう。
年次にもよりますが、人員削減、つまりリストラの格好の対象となるでしょう。そうならないためにも、これからの銀行員は単なる仕事上の「強み」だけではなく、「高い専門性」を備えておくことが必要になってくるはずです。
「支店営業は無駄ではない。普通なら会えないような社長や経営者に直接会って話ができることは大変貴重な経験だから、まだまだ頑張れ」
こんなことをいう上司がいたら、すぐに辞めましょう(笑)
正しい部分はあります。が全体的には時代遅れだと思いませんか?その言葉を信じていたら何も得られないまま銀行員生活終わります(その銀行自体も心配)。
まとめ
時代に取り残される前にしっかりキャリアパスのイメージをして、高い専門性を磨いていく努力が必要です。
どうしてもいまの職場では難しければ転職して別の金融機関に移ることもやむをえないかもしれません。
最近は銀行員人材の流動性も高いので転職の選択肢は比較的多いのではないでしょうか。
銀行員に必要なものをこちらにも書いています。→ 生き残る銀行員とは
最後は自分を守れるのは自分。高い志を持った銀行員が一人でも増え、日本の金融界が活性化することを願っています。
では。
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