銀行員の転職事情

金融
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ここ数年、銀行員の転職が増えているみたいです。確かに僕が新人の頃より、辞めていく人、入ってくる人が増えてますね。銀行員はなぜ転職するのか。そして、転職先で幸せになれるのか、考えてみたいと思います。

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銀行員の転職が増えている理由

はっきり言えることは、業界全体が衰退産業だからでしょう。

戦後の金融業界をざっと振り返ります。

1970年代の高度成長期には設備投資や大型プロジェクト向けの資金が必要であり、1980年代のバブル期には不動産購入資金が活況。

背景には銀行の資金供給と信用創造機能による経済成長への貢献があったと思います。

 

バブル崩壊後、銀行業界は大きくその絵を変えていきます。

1990年代は不良債権処理に追われ、前向きな融資ができなくなり、貸し剥がし、なんて言葉も出ました。

都市銀行と言われた銀行は淘汰され、破綻、合併を繰り返し始めました。

 

その後、IT業界が発達してきた2000年代前半に銀行は息を吹き返してきます。

ニューエコノミーなんて言われた頃ですね。これも長く続きません。

2008年にリーマンショックです。ここで世界中の多くの金融機関は痛手を負いました。

 

そしていまはフィンテックと言われる分野が拡大し、ネオバンク、チャレンジャーバンクと称する銀行以外の事業会社による金融分野への進出が相次いでいます。

長くなりましたが、この時代の変遷が銀行員のキャリアパスに合わなくなってきたのかもしれません。そしてもう一つは、時代の変遷にうまく合わせられない日本の銀行の体質も転職増加の背景にあると思います。

 

これまでの銀行員のキャリアパスとは

従来、銀行員は大学を出て(私が新人の頃には中卒や高卒の先輩もいました)、支店を複数経験し、中には本部へ栄転、その間に管理職になって、課長になり、次長や副支店長、そして部長や支店長になり、うまくいけば本部の部長から役員へ昇進、といういわゆる「ゴールデンコース」がありました。

ただ、このコースを歩めるのはほんの一握り。ふつうは40台後半頃からグループ会社や親密取引先へ出向、そのまま転籍。つまり銀行員人生が終わります。

いままでの銀行員はそれを目の当たりに見続け、それが幸せと思えていたのかもしれません。

「これで良し」とするのは給料が一般企業よりも良かったことも理由にあるでしょう。

今はどうでしょうか。リストラの繰り返しの結果、給与水準も下がり、年齢ピラミッドが逆三角形となり、年次を重ねても先輩年次がつかえているいるので、なかなか昇進できない。

業績が芳しくなければボーナスもショボい。出向を受け入れてくれる取引先も減っている。

他業態が参入してくる金融業界、自分の銀行がいつまでもつかわからない。

これではお先真っ暗。

この状況を見て、とくに20代から30代の銀行員が将来を悲観して転職を考えるという構図ですね。

銀行は対策をしている??

将来の幹部候補となる(なるかどうか別としてその世代)を流出させることは銀行の存亡の危機につながります。

銀行はきちんと対策しているのでしょうか。

以下のような対策はとられているのか考えたいと思います。

  1. ビジネスモデルの見直し
  2. 魅力ある人事制度
  3. 人材に対するリテンション

1については、まだまだでしょう。

みずほ銀行がLINEと提携するなど、新しい動きはありますが、メガバンクはあまりにも組織が巨大すぎるため、既存の資産(支店やATM)が経営の負担になっていることは間違いなし。

さらに、新しいビジネスを作り出していく気概とか時代に合わせる柔軟性がない、ただのオジサン銀行員がビジネスモデルを転換できるとは思えませんよね。

これは2につながります。

2の魅力ある人事制度。ずばり、年功序列をどこまで崩しているか、です。

新しいビジネスを作っていくには新しい世代による発想力と推進力が必要です。

先日ブロックチェーンのセミナーに参加する機会がありましたが、銀行以外の事業会社の人たちはみな20代とか、学生さんもいました。

こういう人達とビジネスを作っていくのですから、答えは必然ですよね。

銀行がそのことをきちんと理解して、結果を出せる人を年次関係なくポストを与えたり、積極的に登用、昇給させることが必要でしょう。

徐々にその動きは見られていますが、世の中一般からはまだまだ遅れてますね。

3について。去る者を追わず、ではもうやっていけません。

残念ながら古い世代には上から目線の人がいます。つまり、「やめたいならどーぞ」みたいな。

そうじゃない。大事な宝である若手を引き留める魅力ある組織を一丸で作らないといけない

そういうのは本部の仕事、と思っている人が多いです。

上記の対策がきちんとされていないと、転職に動いてしまうのはやむを得ないですね。

 

銀行員は魅力がない?

銀行ではそこそこ出来た人が、外に出た途端、全く使えない人材だった、なんていう話はよく聞きます。

昔はそうではなかったと思います。

先輩バンカーは総じて優秀な人が多い印象です。使えない、というのはおそらく銀行員としてだけではなく、社会人としてもレベルが落ちている証拠なのではないでしょうか。

ぬくぬく育ってしまった結果、勉強しないでも銀行の看板でそこそこの成績が出せてしまった銀行員が多い。

優秀な銀行員は多いです。

この人は外に出ても活躍できるだろうな、と思う人がいる一方、この人は外に出たらだめだろうな、と思う人もいます。

これは銀行に所属しているかどうかはあまり関係ない議論かなと。結局は個人レベルの努力の違いだと思います。

ただ、銀行員というフィルターがかかると、こういう話題になることが多いですね。

転職すべきか、とどまるべきか

個人的には銀行にとどまることに価値はまだ十分にあると思っています。

これからの金融業界は市場縮小、他業種参入による競争激化などネガティブな要素もある一方、チャレンジングでもあり、他業種とのアライアンスの機会は益々増えていくと思います。

従来にない発想で新しいビジネスを作ることもできます。

昔の銀行よりも若手や中堅にとってチャンスは大きいと思っています。

ですので、転職を考えている方は今一度自分がやりたいことは何なのか、よーく考えてご決断されるとよいと思います。

ちなみに私は3回ほど転職してますが、すべて金融機関での新規ビジネス推進担当です。概ね職種は変わっていません。

自分のやりたい仕事を作れるか、銀行がその場を与えてくれるか、結果的に自己成長できる場所か、こうした基準で定期的に職場を見直しています。

少なくとも、前向きな人が同じ業界で切磋琢磨できる市場を広げられるとよいですね。

今日は一方的に自身の所感を書きましたが、金融業界の人材動向は今後も注視していきたいと思います。

お付き合いありがとうございました。

では。

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プロフィール

この記事を書いた人
Terry

新規事業企画担当として日々奮闘。日本の金融業界の動きや世界の金融の潮流、銀行員お役立ち情報などを発信しています。

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