銀行業界の仕事内容は一般企業と比べると、やや特殊な部分があるかもしれません。銀行の中にいると気が付かないものですが。
銀行が使う業界用語も最初は意味がわからなかいことも少なくありません。
本記事では、銀行員同士でよく使う「プロパー」の使い方と意味を解説します。
プロパー融資
法人向けに使う「プロパー融資」
銀行が融資をする際には、銀行自身がリスクをとる融資と、保証会社等にリスクを転嫁させる保証付き融資があります。
中小企業向けでは、信用保証協会による保証付き融資は「マル保融資」などと呼び、それら保証が無く、銀行が貸し倒れのリスクをとる融資を「プロパー融資」と呼びます。
保証協会の保証付き融資は100%保証されるものと、例えば80%だけ保証協会が保証、残り20%は銀行がリスクをとることもあります。この20%部分を「プロパー部分」と言ったりします。
プロパー融資は、銀行の審査が厳しくなります。一方、プロパー融資を受けられた企業としては、ようやく銀行に法人としての信用力を認めてもらえたということになります。
他の銀行からすれば、保証協会付きの融資しかない企業と比べて、他行のプロパー融資がある企業は、融資の検討がし易くなります。プロパー融資が受けられると、その後の資金調達に広がりが出ることが期待できます。
個人向けに使う「プロパーローン」
個人向けにも「プロパー融資」は使います。例えば不動産購入する際に、通常は、住宅ローンや不動産担保ローンを使います。これらは一般的には保証会社が付いていることが多いです。この場合、借入人の要件(年齢など)、不動産の要件(権利関係等)が、商品内容に合致していることが必要です。
商品内容に合致しないローンは一切できないのでしょうか?
ここで「プロパーローン」の登場です。定型の商品に合致しない場合には、その事情を考慮して銀行が独自でリスクをとって融資する場合があります。
例えば、対象となる不動産の敷地の形が特殊で、通常の担保評価をすることができない場合や、所有権などの権利関係が複雑な場合、資産はあるのにかなり高齢である場合です。
芸能人やスポーツ選手などもプロパーローンの対象になることが多いです。野球選手などは選手生命は限られた年数となります。つまり稼げる期間が短いので、ローンの返済期間も短く設定します。その代わり毎回の返済額は多額になりますが。こうした特殊なローンの組み方をする場合には、通常は銀行がプロパーローンとして融資します。
法人と同様に審査は厳しくなります。
リスクを取る分、金利は保証付きよりも高くなりますが、中には取引関係を考慮して、保証付きローンと同水準程度の低金利で貸し出すこともあります。
プロパー融資は、金利や返済方法などの条件等の商品設計も銀行次第となります。
プロパー行員
銀行員の「プロパー」の使い方
一般的な企業でも「プロパー社員」と使うことも多いと思います。通常は、正社員と非正社員で区別する意味だと思います。
銀行の場合もほぼ同じですが、少しニュアンスが異なります。
銀行はつい最近まで中途入社が少なかったこともあり、新卒入社の生え抜きを「プロパー」と呼びます。中途組と比較するためですね。
「プロパー」が優遇されている?
銀行業界も中途採用組は増えてきています。仕事をしている際には全く気にならない点ではありますが、いまでも人事考課等ではプロパーを優遇するなど、中途組と何らかの差がある銀行はあるでしょう。
長く銀行に貢献したことを評価することは正しいですが、それだけではありません。
プロパー行員よりも優秀な中途組の行員も沢山増えていると思います。そういった中途採用組行員が実力を正当に評価される銀行が今後も生き残ることになるでしょう。
「あの人はプロパーだから」
こんな会話が聞こえたら、その銀行は気を付けたほうがよいかもしれません。
まとめ
銀行には様々な変わった言葉の使い方があります。言葉の使い方でその銀行の文化・カルチャーだけではなく、もしかすると将来性まで見えてくる?かもしれません。
本記事は「プロパー」について解説してみました。
最後までお付き合いありがとうございました。
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