BaaS(バース)という言葉が日本でも見聞きすることが増えてきています。
BaaS = Banking as a Serviceは、直訳すれば「サービスとしてのバンキング」となります。
BaaSはこれからの銀行サービスを大きく変えることができる新しい金融プラットフォームです。
BaaSについて基本事項を解説していきたいと思います。
BaaS (Banking as a Service)とは何か
新しい銀行サービスを提供できるプラットフォーム
「SaaS」という言葉は聞いたことがあると思います。Software as a Serviceです。「サービスとしてのソフトウェア」です。もともとソフトウェアとは個別のパソコンにインストールして利用されていました。これをクラウド化して、誰でも使えるプラットフォームを用意しました。これがSaaSの概念です。
SaaSの銀行版が「BaaS」になります。もともと銀行本体の機能である預金・為替・融資といったサービスをクラウド化して、新しいサービスプラットフォームを作るものです。
これだけではイメージがわかないかもしれませんが、銀行がすでに持っている機能を、クラウドプラットフォームと接続して、利用者からすると元の銀行の姿が見えないようなイメージです。
実現するためにAPIが必要
銀行とBaaSのプラットフォームを接続するためには、API(Application Programming Interface)が必要です。
政府のオープンバンキング方針により、現在、多くの銀行が一般事業者とのAPI接続を進めています。APIで接続すると、接続先の事業者プラットフォームから口座残高を見たり、取引履歴を確認できたりすることや、振込操作ができるようになります。
BaaSプラットフォームと銀行がAPIで接続することで、さまざまな金融取引が実現できるわけです。プラットフォーム事業者からするとAPIを通じて、銀行機能を利用できるメリットがあります。
BaaSの拡大には更なる法整備に期待
許認可が必要?
銀行機能を使う場合にでてくる課題は銀行代理業とか資金移動業などの許認可問題です。
銀行の機能の活用の仕方によっては、現在の金融関連法制では、許認可が必要なことも少なくありません。
例えば、口座開設の媒介を行うような内容であれば、銀行代理業の取得が必要となります。銀行代理業を取得する要件はそれなりに厳しく、また取得後も態勢の維持が求められます。
一方で許認可を取らないように仕組みを考えると、結果的に利便性の低いサービスに留まってしまう可能性もあります。
金融サービス仲介業の登場で変わるか
現在検討が進められている金融サービス仲介業は2021年に法整備される予定です。
金融サービス仲介業が誕生すると、まさに複数の金融サービスをまとめるプラットフォームを提供できることになり、それまでバラバラに取得しなければならなかった許認可もまとめて取得することができるようになる見込みです。
BaaSモデルも、日本では金融サービス仲介業者を軸に発展する可能性があるため、来年の法規制施行に期待されています。
日本の銀行の対応力に期待できるか
日本の銀行がBaaSにどこまで対応するのかが注目です。
自社でプラットフォームを提供するのか、あるいはBaaSモデルの事業者にAPIを提供して、裏方に回るか、戦略が問われることになります。
従来は自分たちですべて揃えてサービスイン、というのが主流だったかもしれませんが、いまの世の中のスピードにはついていけないでしょう。
特にさまざまな開発負担を考えると、外部のサービスプラットフォーム事業者と組んで、自分たちは、それらのサービスに利用できるAPIを開発することに注力すべきではないかと考えます。
こうした動きを迅速に日本の銀行が見せることができるかは未知数です。メガバンクにこうした動きができるでしょうか。
ネット銀行のような新興の銀行がこの分野を席捲する可能性は十分あります。
銀行業界も新しい流れの中で、新しい基準での優劣が出て、3年後には業界地図が一変する時代がくるのかもしれません。
まとめ
海外からネオバンクやチャレンジャーバンクといった金融サービス会社が続々と日本に進出してきています。
日本の企業も金融プラットフォームを通じたサービス展開を進めています。
金融の中心にいるはずの銀行がいつの間にか忘れ去られ、沈没することのないように、BaaSに対応できる柔軟な動きが必要ですね。
最後までお付き合いありがとうございました。
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