新型コロナウイルスによる肺炎患者数は、中国では6万人以上、死者は1,500人以上となり、日本でも報道の通り、日々患者数が増え、ついに死者も出てしまいました(2020年2月15日時点)。
世界保健機構WHOは、現時点ではパンデミック宣言(フェーズ6)は行っていないが、状況次第では時間の問題と言えるような報道もちらほら。日本に限らずアジア諸国を中心に患者数増加がとまっていない。
こうした疫病によって経済活動が停滞し、さらには金融市場への影響も懸念される。過去のパンデミックを振り返りながら、これまでの金融対策の一例を挙げてみたいと思います。
過去のパンデミック
歴史上、これまで様々なパンデミックを経験してきている。
14世紀 黒死病(ペスト)・・・欧州地域の人口半数が死亡ともいわれる。
16世紀 天然痘・・・コロンブスのアメリカ大陸発見により、免疫を持っていなかった先住民の間で流行、世界で3,000万人程度が死亡
19世紀~20世紀 コレラ・・・7回にわたって、地域を変えながら流行、3,000万人程度が死亡
1918~1919年 スペインかぜ・・・2,500万人超が死亡
その他、1957年のアジアかぜ(200万人死亡)、1968年の香港かぜ(100万人死亡)も挙げられる。記憶に新しい2003年のSARSは感染者8,000人、死亡774人であったから、今回の新型コロナウイルスの規模の大きさがわかると思う。
2009年の新型インフルエンザ
2009年4月、メキシコで呼吸器感染症が集団発生。その後、米国カリフォルニア州で感染が確認され、いわゆるヒトヒト感染を確認。
同年6月、WHOがパンデミック宣言。世界死者数は2万人弱。
これが最も記憶に新しいパンデミック宣言でしょう。
この際には、個人レベルはもとより、企業レベルでも様々な対応が図られることになりました。今回の新型コロナウイルスに対する対応も、この際に整備したルールや体制に基づいている企業が少なくないと思います。
金融業界では、金融庁が金融庁業務継続計画(新型インフルエンザ等対応編)を策定し、また、民間金融機関ではそれぞれ新型インフルエンザの対策を整備しました。基本的には金融機関が「止まって」しまうことがないよう、緊急時対応の備えはできているんですね。
パンデミックは企業活動だけでなく、株式市場など金融市場全体に影響が出る懸念があり、世界レベルで注視が必要となってくるでしょう。
2020.2.26追記:
2月24日の米国株式市場は1,000ドル以上の下落、それを受けて翌日日経平均株価も大幅下落となりました。その後も下落傾向は続いており、金融市場は下押し圧力状態となっています。経済への影響が心配です。
こちらの記事もご参考まで。→リーマンショック再来はあるのか
金融面でのサポート
2017年に、世界銀行がパンデミック金融ファシリティの創設を発表しました。主に途上国で流行している感染症対策として5億ドルの社債を発行するものでした。
こうした国際機関による支援や、各国政府レベルでの支援も進んでいます。
今回の新型コロナウイルスについて、2020年2月10日、日本の金融庁は金融機関に対して、事業者支援に関する要請を行っています。
感染症により影響を受けた事業者に対して、金融機関は丁寧な経営相談や必要な資金供給、既存の融資の条件変更を行ってくださいね、というものです。
今回の新型コロナウイルスは世界の経済への影響が大きい中国が発生源であり、今後の経済への打撃が懸念されます。日本と中国は経済上、多くの交流があり、製造業から観光産業など多くの業界に影響がでてくると思います。もはや中国とビジネスにおいて関連が全くないという企業は少ないのではないのでしょうか。
個人的には日本へ観光に来てくれている中国人が激減することによる日本の観光業への打撃が心配です。
金融機関としてはできる限り企業向け支援ができるようサポートしていくべきですね。
いまの流行が早期に終結してくれることを祈るばかりです。
個人レベルでできること、まずは手洗い、うがいを励行したいと思います。
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