先日、給与ファクタリングは貸金業に該当する、と金融庁が見解を示しました。貸金業の許認可の取得が必要とされることになりました。
ところで、そもそもファクタリングとはどういうもの?と疑問に思っている人も少なくないと思います。そんな疑問にお答えしたいと思います。
資金調達方法の一つではありますが、銀行員も実はあまり知らない世界なのです。
ファクタリングとは
売掛債権の買い取りのこと
ファクタリングとは、売掛債権の買い取りのことだよ!
一般社団法人日本ファクタリング協会によれば、ファクタリングとは、
「売掛債権買取業務のことを言います。決済期日前に売掛債権を第三者に譲渡するなどの方法を用いて資金を調達することを指します。企業の売掛債権を総合的に管理するサービスです。」
と説明されています。
資金調達をしたい会社の立場から見ると、自社が持っている取引先(販売先)に対する売掛債権(売掛金)を、第三者であるファクタリング会社に譲渡(売却)し、その対価をファクタリンング会社からもらうわけです。
資金調達の手段の一つである
通常は売掛債権は、サイトと呼ばれる支払いまでの期間が設定されていて、30日、60日、90日、といったあるていどの期間を経過しないと取引先は払ってくれません。そういう約束を最初にしているからです。
その間、ただ入金を待っていてもよいのですが、企業活動において様々な必要資金の手当てをする中で、ファクタリングは、早く債権を現金化して運転資金等に充当する資金調達手段の一つとなっています。
ファクタリングは便利な資金調達なのですね!
ファクタリングには、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングがあります。それぞれの違いを見てみましょう。
ファクタリングの種類
3社間ファクタリング
ファクタリングには3社間ファクタリングと2社間ファクタリングがあります。
3社間ファクタリングは、取引先(売掛先)も関与するファクタリングです。2社間はファクタリング利用会社とファクタリング会社のみが関与する相対取引となり、売掛先は関与しません。
3社間ファクタリングは、ファクタリング利用会社から売掛先に「ファクタリングを利用します」と通知し、売掛先は「いいですよ」と承諾することが必要です。
その後、売掛債権はファクタリング会社に譲渡され、売掛金の入金はファクタリング会社に直接送金されることが一般的です。
ファクタリング会社からすると、ファクタリング利用会社と売掛先との取引が確かに存在していることを確認できるので、安心して債権を買い取ることができます。
入金も売掛先から直接なので、信用力の高い売掛先であればより安心な取引となるわけです。
取引先に伝えて承諾してもらうのが三社間ファクタリングなんだね。
したがって、買い取り手数料も低いことが多いです。取扱会社も銀行系の大手ファクタリング会社を含む多くのファクタリング会社が取り扱っています。
3社間ファクタリングのデメリット
ファクタリング利用会社からすると、いちいち売掛先に通知して、承諾をもらわないといけない手間が発生します。
また、ファクタリングを利用しないと資金繰りが大変なのか?と売掛先からネガティブイメージにつながり、将来の取引に影響ができる可能性もゼロではありません。
2社間ファクタリング
3社間ファクタリングの手間や売掛先に対するネガティブイメージを出したくない、という利用会社にマッチするのが、2社間ファクタリングです。
2社間ファクタリングは、売掛先への通知がありません。したがって、通知・承諾の手間削減のみならず、売掛先に知られないまま、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することができます。
ファクタリング会社からの立場からすると、3社間とは違って、売掛先の「お墨付き」がありません。
二社間ファクタリングは取引先に言わないんだ
2社間ファクタリングのデメリット
したがって、その売掛債権が本当に存在するのか、取引資料や請求書などが偽造していないか等、慎重にならざるを得ません。資金の回収も売掛先から利用会社にいったん入金されたのちに、利用会社からファクタリング会社にきちんと入金してもらわなければなりません。
3社間ファクタリングよりもリスクの高い取引になるわけで、手数料も高めに設定されています。
大手ファクタリング会社はほとんど取り扱いがなく、ノンバンク系や中小のファクタリング専門会社が取り扱っています。
2社間ファクタリングでは実際に架空取引や詐欺などに引っかかってファクタリング会社が損失を被った事例も耳にします。
ファクタリングのメリット
- 銀行融資より手軽
- 売掛先の信用力を活用できる
- 資金化するまでのスピードが速い
ファクタリングを利用する会社からすると、銀行融資よりはハードルが低く、売掛先の信用力も活用できる、あるいは資金化までスピードが速いなど、多くのメリットを享受できる資金調達手段です。
3社間ファクタリングも、2社間ファクタリングも、それぞれメリット・デメリットがあり、利用会社のニーズによってその活用方法を決めていく必要があると思います。
メリットとデメリットをよく見極める必要があるね!
銀行のファクタリング対応
銀行員からすると、ファクタリングは割引手形みたいな感覚ですね。ただし、ファクタリング専門会社と同じような対応を銀行本体で手掛けているところは少ないです。大手の銀行はグループ会社(つまり子会社)としてファクタリング会社を持っており、そこでファクタリング業務を行っています。
銀行法上では、付随業務としてファクタリング取り扱いは問題ないのですが、本業の融資とバッティングするからなのでしょうか。大抵は、〇〇ファクターのような子会社で扱っていますね。3社間ファクタリングが大半でしょう。
2社間ファクタリングだと利用会社向けの与信の要素が強くなるため、銀行が本来手掛けている融資とあまり変わらないですよね。
まとめ
企業の資金調達手段として、自社の資産を活用することは大変意味のあることだと思います。
一方で、特に2社間ファクタリングでは、非常に高い手数料を取っている業者も無数にいます。
信用力をきちんと評価委しているかはわかりませんが、ファクタリング利用者側も、ファクタリング会社とその商品内容(手数料を含む取引条件)について、あらかじめ自己責任で確認することが必要ですね。
銀行が直接ファクタリングを提供する機会は限定的かもしれませんが、自らの取引先がどういう資金調達をしているのかを把握するにも、ファクタリングの基礎知識は銀行員の基本知識として押さえておくことが必要なのかもしれません。
なお、銀行員のスキル全体に関する記事はこちらもご参考まで。→生き残る銀行員に必要なもの
お付き合いありがとうございました。
では。
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